焦点 新人看護師離職率をどう捉えるか
座談会●私立医科大学病院新人看護師離職率9.7%の意味を読み解く
福井 トシ子
1
,
木村 チヅ子
2
,
市川 幾恵
3
,
山田 明美
4
1杏林大学医学部付属病院看護部
2慶應義塾大学病院看護部
3昭和大学統括看護部
4兵庫医科大学病院看護部
pp.528-535
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101501
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福井 本日は2007(平成19)年度に入職した新人看護師を対象とした調査結果から得た9.7%という離職率をどう読み解くべきか,ご意見をいただきたいと思います。2001(平成13)年からの調査で「全産業と看護職員の離職率の推移」というものがあります。新人看護師の調査は日本看護協会によるもので,2003(平成15)年からで9.2%という数値です。全産業と比較しても高くはなく,私立医科大学病院(以下,私大病院)の調査結果だと9.7%という数値です。この10%近くの新人看護職員離職率を下げるための努力をすべきだという意見が2001年頃からあります。そのために,臨床研修制度も必要だと言われ,卒前卒後の教育体制についても議論され,それぞれ対策もとられてきましたが,依然この数字に変化はありません。
まず,2004(平成16)年の「学校調査」で示された離職理由を見てみましょう(表1)。大学では「基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい」ということを,いちばんの要因と考えています。「病院看護部調査」(表2)でも同じく1位です。最も違うところは,学校調査では「個々の看護職員を『認める』『ほめる』ことが少ない職場風土」を3位に挙げているのに対して,病院では9位に挙げています。
そこで,まずはこの2点,「2003~2005年度の新人看護職員離職率は,私大病院での2007年度調査まで依然9%台」ということと,「2004年度調査での大学側と病院現場で考えている離職要因に違いがある」という点について,考えをお聞かせください。
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