焦点 理論の開発・活用のための中範囲理論―看護知識の構造から考える
【中範囲理論開発に向けた概念分析】
②スピリチュアリティ
星 美和子
1
1札幌市立大学看護学部
キーワード:
スピリチュアリティ
,
概念分析
,
中範囲理論
,
理論開発
Keyword:
スピリチュアリティ
,
概念分析
,
中範囲理論
,
理論開発
pp.123-137
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100430
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はじめに
筆者が博士課程の学習において最初に選択した中心概念は,スピリチュアリティ*である。スピリチュアリティという概念は,人間の健康に関係する因子として,ここ20年ほど欧米の研究者たちの注目を集め,看護学のみならず,医学,心理学,社会学,宗教学などさまざまな分野においてその健康との関係性が調査され,人間の健康維持に有効であるという調査結果が多数報告されている(George, Larson, Koenig, & McCullough, 2000 ; Musick, Traphagan, Koenig, & Larson, 2000 ; Seybold & Hill, 2001)。世界保健機関(WHO)においても,健康の定義にスピリチュアルな側面を含むべきかが議論されていた。しかしながら,スピリチュアリティという概念を明確化することは欧米においても難しく,その定義においてはなかなかコンセンサスが得られていない状況である。
筆者の博士論文では,最終的には,日本の高齢者における自己超越性(self-transcendence)についての研究を行ない,スピリチュアリティ概念を自己超越の構成概念constructの1つとして,その理論的枠組みに組み入れた。その理論的枠組み構築の過程における最初のステップが,本稿で紹介する,スピリチュアリティという概念の分析であった。
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