特集 職員を守り,安心・安全の医療を守るための院内暴力対策
看護師が語る職員間暴力―事例から見えた被害の実態と影響
黒田 梨絵
1
,
三木 明子
2
1筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程
2筑波大学大学院
pp.504-508
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101495
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職場内のいじめによる看護師の自殺事件
2004(平成16)年9月24日,「21歳准看護師いじめ自殺事件(さいたま地裁)」の判決では,いじめを行なった先輩看護師に対して1000万円,そして病院に対して500万円の慰謝料の支払いが命じられた1)。被害者は21歳の男性准看護師で,3年にわたる職場でのいじめにより,縊死自殺をしたという事件である。裁判所の判決は,加害者の男性准看護師のいじめ行為の認定,病院の安全配慮義務違反の責任,いじめと自殺との事実的因果関係から,加害者と病院に賠償責任を負うこととしている。
ここで職員間の私的トラブルに病院が責任を負う必要があるのかと疑問に思うかもしれない。その問いには,秋田2)が以下のように答えている。本件のいじめは相当悪質で長期にわたっていること,職場の仲間が加担して集団的にいじめた形跡があることを挙げ,“病院側は自殺の責任までは問われなかったが,いじめを防止できなかった過失について500万円もの慰謝料を支払わされた”のだと。
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