焦点1 自治体病院におけるマネジメントラダー構築の取り組み
マネジメントラダー構築の意義と市立札幌病院への関わり
平井 さよ子
1
1愛知県立大学看護学部看護管理学
pp.431-433
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101479
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スタッフと管理職のラダーモデルが求められるのは
少子高齢化の急激な進展に加え,医療費抑制を柱とした医療制度改革のなかで,国民の医療サービスの「質」に対する関心は高まり,地域社会における病院の社会的責任が大きくクローズアップされている。また,このような社会環境の変化を受け,これまでのような護送船団方式的な病院経営は終焉を告げ,個々の病院組織の経営への取り組みが試される時代が到来した。保健医療福祉サービスの主翼を担う看護職者の役割はますます重要になってきている。そしてその品質を決定する看護部門の「ヒト」のマネジメントは,ようやく病院組織において最も重要な経営課題と認識されつつある。
看護職には専門職としての社会的責務がこれまで以上に求められ,さらに人数や人件費率の点,看護サービスを生み出す点において病院組織のコア人材である。さらには,2008(平成20)年度の診療報酬改定ではマイナス改定が施行されたにもかかわらず,看護技術は評価され,より手厚い看護の配置基準の7対1入院基本料が導入され,病院にとって看護師確保が診療報酬増減のカギとなった。しかし,単なる看護師の頭数を合わせることに終始する人材管理では看護師の「個の尊重」は全くありえず,看護師の能力開発,人材育成に関する課題は未解決のままになってしまう。そこで,看護師数の絶対数を確保する努力とともに,目先の問題のみにとらわれることなく,有能な人材の確保,定着率の向上,看護サービスの質向上のための能力開発などを推進するための人的資源管理システムの導入が考案されなければならなくなった。
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