特集 産科医療の充実と看護管理―院内助産所・助産師外来を中心に
助産師外来・院内助産の現状と今後への課題―日本看護協会の取り組み
遠藤 俊子
1,2
,
葛西 圭子
3,4
1日本看護協会
2山梨大学大学院医学工学総合研究部
3前日本看護協会
4NTT東日本関東病院看護部
pp.756-761
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101282
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はじめに
わが国の分娩場所の推移をみると,1965(昭和40)年には自宅分娩と施設分娩は半々であったが,現在では99%以上が施設となっている。施設分娩の増加に呼応するように乳幼児死亡率は減少し,出産の安全性を高める大きな役割を果たしてきたといえる。主要な母子保健指標である周産期死亡率は2004(平成16)年に3.3(出生1000対),妊産婦死亡率に関しては4.4(出生10万対)となり,国際比較でもトップクラスの水準となっている。この背景には安全を最優先してきたことが大きな要因としてあげられる。
しかし,現在では「お産難民」「産科医療崩壊」などと表現されるように分娩施設の存続が危機にさらされている。一方では,出産の安全に加え,数少ない出産をよい体験にしたいという妊産婦とその家族のニーズは高まっている。妊産婦の意思が尊重され,できるだけ希望に沿った出産が実現できるように,バースプランをはじめとして,医療者とともに出産を考えていくような産科医療が実現しつつある。
このように相反するともいえる2つの課題,すなわち産科医療施設減少と多様化する出産ニーズに応えるために,助産師を活用した本格的な次世代に通用する産科医療提供システムの構築が急がれている。
本稿では産科医療の実態と,日本看護協会のこれまでの取り組みおよび新たな支援策を踏まえ,助産師活動の今後の可能性と課題について述べる。
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