連載 医療安全確保のための看護提供体制を考える・6 厚労科研「医療安全確保のための看護体制のあり方に関する調査研究」より
夜勤看護加算要件の現状と今後の方向性をめぐって
小児専門病院の現場からの一提言
野中 甲子
1
1埼玉県立小児医療センター
pp.986-991
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100952
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はじめに
2002年(平成14年)12月から行なわれた「医療安全確保のための看護体制のあり方に関する研究会」(主任研究者/井部俊子)で夜間勤務等看護加算(夜勤看護加算)要件について議論された。その中で「月平均夜勤時間数(72時間)の要件削除」の意見に対し,筆者は反対の立場をとった。その理由は,現状の医療現場を鑑みる限り,72時間の要件削除が夜間の患者の安全確保と看護の質向上につながらないばかりか,看護師の労働負担の面からも決して好ましい結果にはならないと判断したからである。
厚生労働省医療課のデータによると,14年度の入院基本料届け出病床数約130万のうち夜勤看護加算を取っている病床が85万床(65%)に対し,夜勤看護加算を取っていない病床は実に46万床(35%)もある。一般病床(急性期)でも21万2000床(27%)が夜勤看護加算を取れていない。このことは,夜間の看護体制が未だ十分に整っておらず,極めて貧弱であることを浮き彫りにしていると言える。厚労省の医療制度改革の基本的方向に示されている「安全で安心できる医療の再構築」が本当に実現するのか,第3次医療機関で毎日患者と向き合っている看護師としては危惧せざるを得ない。
本稿では,研究会の議論を振り返りながら,現状の夜勤看護加算要件と今後の方向性についての意見を述べたい。
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