特別記事
電子カルテと看護記録とクリニカルパスの三角関係をどうするか―押し寄せるチーム医療・IT化の波と看護記録の行方
堀田 晴美
1
,
本田 五郎
2
,
道端 由美子
3
,
副島 秀久
3
1済生会熊本病院医療記録研究室
2外科(現小倉記念病院外科)
3済生会熊本病院
pp.388-395
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100729
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はじめに
2001年12月に厚生労働省より保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザインが発表され,それ以後,電子カルテに取り組む施設は急増している。そんななかで,2003年11月広島市で開催された第4回日本クリニカルパス学会では,看護記録の電子化に取り組む施設が抱える問題点の1つとして,看護問題や看護計画の内容とクリニカルパス(以下,CP)のアウトカムとが重複し,さらにそれらの記録も重複するため,電子化のメリットの1つである記録の効率化・簡素化が阻まれるという事態が浮き彫りとなった。
これに対して済生会熊本病院(以下,当院)では,アウトカム志向のCPとCPに連動した医療記録(以下,日めくり式パス)を媒体として,チーム医療を実現してきた経緯があり,その過程でアウトカム志向のCPや日めくり式パスと看護問題,看護計画,看護記録との関係について検討を重ねてきた。その結果,(1)医療問題(看護問題も含めた患者の診療上の問題点),(2)医療チームによる診療計画(看護計画を包含する),(3)診療録(医師記録・看護記録を含めたあらゆる職種の記録)の3つの患者情報をすべての職種が効率よく共有するためのシステムとして,電子カルテのあるべき姿が見えてきた。現在,当院では,これらを基に独自の電子カルテシステムを構築している。
そこで本稿では,CPを活用したチーム医療を展開するなかで,看護問題,看護計画,看護記録をどのように活かすことができるのか,今後の電子化を見据えて考察してみた。
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