特集 ケーススタディ 看護管理者が問題解決能力を発揮するとき
千葉県立病院における抑制廃止ガイドラインの作成と現場での適用のプロセス―県立病院の看護の質改善を推進し,ガイドライン作成を決定した行政職の立場から
山下 朱實
1,2,3
1千葉県立救急医療センター
2千葉大学大学院地域高齢者看護システム看護学
3前千葉県健康福祉部県立病院
pp.380-382
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100725
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医療事故防止体制の強化が進められている昨今,急性期医療の現場において,安易に抑制が実施されることが危惧される。介護保険適用施設は,原則抑制禁止が規定されたが,一般病院での法規制はない。そんななか,急性期病院で働く看護職者は,抑制が看護の質を左右する重大な問題であるとの認識を深め,生命維持のために緊急避難的な抑制を実施するにしても,そのケアのあり方を模索する試みを始めている1,2)。そこで,千葉県立病院が抑制をしないための環境づくりに手をつけていない現状に対し,県立病院の看護の質改善を推進する活動の責任者である筆者の立場から,全県立病院で抑制廃止に対する取り組みを本格的に展開するため,抑制廃止ガイドライン(以下,ガイドライン)作成を決定した。
行政職としての筆者の活動背景
千葉県立病院課は,高度専門病院5施設と地域中核病院2施設の7病院を統括している(表1)。筆者は,県立病院課主催の全県立病院の看護局・部長などで構成する看護職員定着対策委員会(看護局・部長会義)の他,各病院の代表者,副看護部長,看護師長,副看護師長で構成する4つの部会を運営し,看護組織改革,人材育成システム,新たな看護提供システムなどを構築して,全病院の看護部門に展開している。
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