特集 医療安全研修で何を学ぶか 現場でどう活かすか 研修をより実効あるものにするために
医療安全リーダーシップ研修を構築し実施する―国立保健医療科学院の取り組みから
石川 雅彦
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1国立保健医療科学院政策科学部安全科学室
pp.996-1001
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100707
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現在,医療安全の推進のために,医療現場の担当者,および医療安全管理者の努力により,さまざまな改善策が挙げられている。それを実際に院内に適用するためには,各部署間の調整や規約・マニュアルの変更など院内全体の状況から決断する必要がある。また,自院で最優先に取り組むべき医療安全上の課題の詳細を知り,改善策実施が経営上で容認できるかどうかということを決断する立場にあるのは,医療機関の管理者である。医療安全の問題は医療機関の質の問題であり,経営上の問題であることから考えると,患者に安全で良質の医療を提供するためには,医療機関の管理者は医療安全の推進に関して強いリーダーシップを発揮する必要がある。
現在,医療機関の管理者が具有すべき医療安全管理上のポイントは大きく分けて2つある。1つ目は患者にインシデント・アクシデントが発生しないような取り組みであるセイフティマネジメント(安全管理)であり,2つ目は発生事象に関する取り組みであるリスクマネジメントである。最近では,訴訟に結びつく事例に対応するコンフリクトマネジメントの取り組みもクローズアップされているが,基本になるのは上記の2つと考える。具体的には,管理者には医療安全管理者からの業務上の相談などに対する適切な支援,医療安全推進に対する指導はもとより,院内インシデント・アクシデント報告の分析によって策定された対策案に対して,総合的見地から判断して承認・不承認を決断することが要求されている(図)。
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