連載 スクラブ・ナース 2年生・21
たかが胃カメラ―患者としての体験
鈴木 美穂
pp.171
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100670
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先日,胃の調子が悪かったので,胃カメラを受けた。予約の際,検査後一人では帰れないので,誰か迎えの人をアレンジするように言われ,なぜ胃カメラごときで?と疑問が湧いたが,とりあえず普通の人が仕事をしている平日の日中に,他人を煩わせるのは忍びなかったので,母がニューヨークに来ているときを選んだ。また,12時の予約なのに10時までに来いと言う。なぜ2時間も前に?
とにかく,指示されたとおり,10時にDay Surgery(日帰り手術部)の窓口に出向いた。待合室で保険関係の書類に署名をし,更衣室でペラペラのガウン(本連載第11回,2006年4月号参照)に着替え,手首にネームバンドをつけられ,診察室でナースからアナムネが聴取された。それが終わるとストレッチャーに乗ってトランスポーターを待つように言われた。歩けるのになぜストレッチャーに? せめて車椅子ではダメなの?と思いながらも,素直に従った。ここでの待ち時間は10分程度で済んだが(本連載第12回,2006年5月号参照),どこに連れて行かれるのやら,何のオリエンテーションもなかったので,検査室に行く道中,やたらキョロキョロしてしまった。何の情報も与えられずに,ストレッチャーに横たわったまま,移送されることがこんなにも不安なものなのかと,初めて患者の気持ちが分かった気がした。
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