BOOK REVIEW
―標準的ながん看護とは何か―『がん看護コアカリキュラム』
山田 雅子
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1厚生労働省医政局看護課・健康局総務課がん対策推進室
pp.470
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100616
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■がん医療水準の均てん化に向けて,看護のチカラの結集を
がんは健康を脅かす代表的な疾患として,多くの国民を苦しめてきた。1981年にがんが死因の第1位になったことをきっかけに,「対がん10か年総合戦略」が,さらにその後「がん克服新10か年戦略」が打ち出され,がんの本体を解明する研究の推進が図られるとともに,早期発見・早期治療に向けた取り組みが進められている。現在は,「第3次対がん10か年総合戦略」として,「がんの予防」と「がん医療の向上とそれを支える社会環境の整備」を柱とした取り組みが行なわれている。特に「がん医療水準の均てん化」は重要な課題の一つとして取り上げられており,がん医療の地域格差を是正するため,「がん専門医等の育成」「医療機関の役割分担とネットワーク」「がん登録制度」「情報の提供・普及」などの取り組みが推進されている。
がん医療水準の均てん化に向け,がん医療を実践している医療機関を中心とした基盤整備を行なうことはもちろん,がん医療に携わる個々の医療者が力をつけていくことは極めて重要な課題である。患者にとってはどこの医療機関であっても,一定の水準以上の治療を受けたいと考えるのは当然であろう。標準的な治療(手術,抗がん剤治療,放射線治療などの組み合わせや,緩和医療を含む複数診療科間における相互診療支援など)を必要としている患者に対して,必要な情報を伝え,自己決定を支援し,適切な服薬管理や処置を実施する立場にある看護職員には,幅広いがん医療の最新の知識に裏付けられた質の高い看護を提供することのできる技術が必要である。
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