特集 個人情報と患者の安全をどう守るか
【鼎談】患者をめぐる個人情報のゆくえ
奧野 善彦
1,2
,
嶋森 好子
3
,
柳田 邦男
4
1奧野総合法律事務所
2(株)整理回収機構
3京都大学医学部附属病院
4作家
pp.624-631
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100211
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「法律の大衆化」の時代へ
――今回の個人情報保護法について,皆さんが感じていることをまずお願いします。
奥野 私ども法律家としては,ごく当たり前の法律ができた。したがって,特別の法律ではないと思っています。プライバシーの保護を徹底していけば,どこでも作らなければならないものであるわけです。憲法を勉強した市民からすれば,自分の情報を自分で管理することは当然の権利として認められなければいけないし,すべからくそれを守らなければいけないという考えは当然持っている。それがようやくOECDのつきあげで今度個人情報保護法が制定されたわけで,どこの企業も病院も何やらその対応にあわてふためいているようで,少し情けない気がします。ただ医療界には画期的に作用するところもあって,医療安全という意味でも役立つのではないかとも思います。たとえば,いままでカルテを出さないのが当たり前でしたが,この法は,患者の求めがあればカルテを出すのは病院の義務としています。患者のためにカルテがあるわけで,当然患者はカルテの提出を要求できるということが,この法律によってようやく正当視されたのではないでしょうか。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.