特別記事
看護師を病院ボランティアに―教育的観点からの試み
伊藤 恒子
1
1市立砺波総合病院
pp.577-581
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100201
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はじめに
日本での病院ボランティア活動は,1962年に大阪の淀川キリスト教病院で,2人の美容師が,寝返りも困難なリウマチ患者に洗髪の奉仕をしたことから始まったといわれている。この患者はボランティアとのふれあいのなかで,生きる望みを取り戻し,厳しいリハビリ訓練の後,歩いて退院できるまでに回復した。そのことがきっかけとなり,病院ボランティア活動は多くの人に注目されるようになり,やがてこの精神と活動は人々から賛同と高い評価を受け,日本全国にその輪を広げることとなった。そして,1974年に「日本病院ボランティア協会」の設立へとつながっていった。
日本の閉鎖的で特殊な病院の環境下で,ボランティアの導入はその後なかなか進まなかったという状況があった。しかし,高齢化に伴う医療政策の抜本的改革が推し進められ,病院のサービス業としての位置付け,第三者評価の導入などにより,開放的で選ばれる病院づくりが必須課題となり,近年,急速に病院ボランティアが注目されることとなった。そして,全国の病院でボランティアがそれぞれ活動を始め,以後開かれた病院づくりと「医療者では目の届かない細部のサービス」がボランティアによって提供されるようになってきた。
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