特集 地域におけるネットワーク医療・看護の取り組みのいま
制度改革前夜の課題
退院調整実務者としての視点から
岡田 美幸
1
1医療法人近森会近森病院地域医療連携室
pp.271-276
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100142
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はじめに
「今,一番大変で質の向上を求められているのは急性期。急性期で活躍してもらいたい」
大学院修士課程で老人看護を学んだのち,在宅看護の分野で働きたいと,近森会の施設の1つである老人保健施設への配属を希望して,看護部長との面談に臨んだ筆者に返ってきたのがこの言葉であった。当時は希望が通らず複雑な心境であったが,今ではほんとうに貴重な経験をさせてもらったと思う。
そして数か月の病棟経験の後,地域医療連携室所属の退院調整看護師として活動するようになったのは,近森病院(以下,当院)が地域医療支援病院として認定された2003(平成15)年のことだった。新たなシステムを組織に定着させていくことは,さまざまな苦労や困難がつきものだが,当院では2000(平成12)年に初めて退院調整看護師を配置しており,前任者が築いた基盤を受け継ぐ形でこのポジションに就けたことは幸運なことだった。しかし,退院調整看護師の位置づけや役割が院内の職員すべてに共通認識され定着していたとはまだまだいえず,自分自身のアイデンティティや存在意義を模索する日々の始まりでもあった。
本稿では,管理者とは異なる退院調整の実務経験者である一スタッフとしての視点から,これまでの経験からの学びをまとめたい。
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