余白のつぶやき・25
辛抱の腹オビ
べっしょ ちえこ
pp.949
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922800
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人生にはやりきれないことが沢山あるけれど、トシとともに辛抱というものが出来なくなり、言っちゃあいけないことをつい口走ってしまったあとの苦い味などもまた、やりきれないことの一つだろう。
巧言令色は唾棄すべきだが、では本心であれば何を言ってもいいかというとさにあらず、実際にはそっちの方がきつく制限される。人間は人の間で生きなければならない社会的動物だから、嘘いつわりは勿論戒めなければならないが、本心の方もことと次第によっては辛抱の腹オビをきつく締め、臍下丹田(せいかたんでん)におさめておく。これが世に言う謙譲の美徳である。
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