連載 スクラブ・ナース 1年生・11
ニューヨークの入院患者―身だしなみ編
鈴木 美穂
pp.296
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100057
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- 文献概要
ニューヨークの入院患者のほとんどは下着を着けていない。自分で動き回れる患者のなかには自前のパジャマやスウェットを着ている人もいるが,普通は病院のガウンを羽織っているだけである。病院のガウンといっても,日本の病院で支給されているものとは比べものにならないほどぺらぺらに薄く,しわくちゃで,きちんとたたまれていることはない。ほとんどベッドの外に出ることのない担送・介助患者では,パンツやおむつ,下着を一切着けず,そんなガウンを前から掛けて袖をとおしているだけで,襟元の紐を結ぶこともしない(結んでしまうと患者がずり動くたびに首を絞めてしまうからであるが)。いうなれば,袖があるというだけで,全裸に薄っぺらなシーツを掛けているのと大差ない。日本人の身だしなみの観点からすると,ニューヨークの患者の姿は“だらしない”。
日本では麻痺や拘縮がある患者でも,かぶりのパジャマを着ていることが多く,清拭や更衣が大変だったことを思い出す。身だしなみの観点以外に,薄っぺらなガウンを被せるだけではいけない理由があるだろうか。当然,薄っぺらなガウンを被せるだけのほうが業務量は減る(清拭や更衣は基本的には看護助手の仕事で,RNが行なう機会は少ない)。褥瘡予防の観点からも臀部は風にさらされているほうがよい(寝たきりや術後で運動が制限されている患者にはオムツをしないよう指示される)という考え方が主流のようだ。
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