特別記事
諸外国における看護情報の活用と看護の質向上・4 デンマーク医療の質改善計画―質指標調査結果の活用と質改善の取り組み
綿貫 成明
1
,
菅田 勝也
2
,
李 廷秀
3
,
矢野 正子
4
1藍野大学医療保健学部・成人看護学
2東京大学大学院医学系研究科・看護管理学分野
3東京大学大学院医学系研究科・健康増進科学分野
4藍野大学医療保健学部
pp.152-157
発行日 2006年2月10日
Published Date 2006/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100029
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2001年のWHO報告書1)によると,急性期ケア病院における有害事象の発生率は,デンマークが9.0%(1998年),英国が11.7%(1999~2000年)である。これらは,データ規模が入院数1000件前後の調査であるが,いずれの結果も発生率は低くない。WHOが挙げている有害事象への対策は,用語定義の標準化,各国の有害事象の分類と測定方法の標準化,発生率報告と発生予防の取り組み調査,各国を支援する枠組みの作成,各国間のネットワーク構築,公的・私的機関の協力体制の確立などである。
本調査は,デンマークの医療制度・医療機関調査,ならびにデンマーク全土をカバーする医療・看護サービス質管理指標システムに関する情報収集が目的である。「デンマーク医療の質改善計画(The Danish Quality Improvement Programme)」を担う組織であるDGMA(医療の質改善担当部門;デンマーク語でDen Gode Medicinske Afdeling,英語でThe Good Medical Department)を2004年11月に訪問し,デンマークの医療制度や,質保証・質指標のデータベース化に取り組むプロジェクトマネジャーの医師Jorgen Steen Andersen博士,ならびに看護研究をケアの質向上に活用するプロジェクトを担っている内科・リハビリ病棟のヘッドナースDora Fog氏にインタビューを行なったので報告する。なおDGMA事務局は,デンマークの首都コペンハーゲン市内のAmager Hospital(http://www.dgma.dk/)内にある。
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