特集 服薬の行動科学—「指導」から「援助」へ
服薬の行動科学—コンプライアンス/アドヒアランス,コミュニケーション
堀 成美
1
1東京都立駒込病院感染症外来
pp.1017-1023
発行日 1998年11月1日
Published Date 1998/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905703
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はじめに
ひとりの人間の行動や反応には,さまざまな因子がからみあっている.私たちが客観的に把握できる行動や,患者との会話のなかで得る情報は,実は海面から頭を出している氷山の一部分であり,水面下には表出されない思いや,本人さえ気づかない無意識のレベルの思考や感情もある.この観察可能な部分や表出範囲は,コミュニケーションの相手・体調・精神状態などでも変わりうる.
つまり行動として見える現象は,見えている全体像はもちろん,そのとき見える状態,見る側の視点,受け止め方によっていかようにもとらえられる.このように服薬行動をとらえると,そのときどきに客観的に把握される患者の行動の意味を理解することが必要であり,またより望ましい行動というゴールのためにはアセスメントに基づいた介入が重要である.
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