焦点 看護実践・理論・研究をつなぐアクションリサーチ
看護におけるミューチュアルタイプのアクションリサーチを推進する力
齋藤 亮子
1
,
遠藤 恵美子
2
,
千崎 美登子
3
,
桃園 忍
3
,
久野 多恵
3
,
西又 玲子
4
,
赤羽 寿美
4
1山形県立保健医療大学保健医療学部看護学科
2北里大学看護部
3北里大学東病院看護部
4北里大学病院看護部
pp.493-499
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900644
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はじめに
筆者らと同僚のナースおよび看護教員とのアクションリサーチ(action research)は,研究結果を看護実践のなかに導入するモデル作り,すなわちリサーチ・ユーティリゼーション(research utilization)のモデルを作るという目的で始まった。実践者ナースと教員・研究者ナース(以下,ナースと教員とする)がパートナーシップを組んで,研究グループを結成し,毎月1〜2回の割合で学習会兼研究会(以下,合同会議とする)を開始した。そのプロセスはスムーズに進行したというよりも,混乱状態に陥ったかと思うと一気に拍車がかかって思わぬ発展をしたり,またその逆の場合もあって,まさに“予測不可能な体験”というものであった。
研究がある程度進行した頃,自分たちの研究プロセスでとらえられた促進因子と障害因子を整理する作業にとりかかった。参考にしたのは,Omery & Williams(1999)によるリサーチ・ユーティリゼーションにおける研究の促進因子と障害因子の分析であった。しかし,筆者らはその作業のなかで,思わぬ発見をした。それは,プロセスのなかで最後まで障害因子として残るものはほとんどなく,障害因子はプロセスの途中で転換し,強力な推進因子として機能しているという事実の発見であった(齋藤ら,2001)。
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