研究
アメリカ合衆国各州における看護婦の法的権限と関連要因
草刈 淳子
1
,
長友 みゆき
1
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター(看護管理研究部)
pp.33-40
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900178
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I.はじめに
看護婦の役割拡大は,1970年代以降の医療技術の高度化に伴い,急速に顕在化している。特にアメリカ合衆国(以下,米国と略)では,1972年にニューヨーク州の教育法が新たに制定されて看護の定義が大きく変化したことを契機に,各州において看護業務法が改正・修正され,80年代半ばにはほぼ全州において改正・修正された1)。1965年に誕生したナースプラクティショナー(NP)の数も種類も多くなり,各州において,NPの法的位置づけも多様化し,その権限は州により大きく異なってきている。「看護の定義」が職能団体としてのアメリカ看護婦協会(ANA)のSocial Policy Statementによって1980年に公式に示されたのは,周知の通りである。
日本の医事法関係者によって医療業務における看護婦の法的責任が,米国の看護婦を例に初めて論じられたのは,1983年の第13回日本医事法学会大会のシンポジウム「米国のNurse Practitionerにみる医療業務における責任の再配分」においてであった2)。すでに10年前のこととなった。
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