焦点 ヒューマンセンサー(感性)に関する看護研究
綜説
痛みの測定・評価とケアに関する看護研究
深井 喜代子
1
1川崎医療短期大学看護学科
pp.398-408
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900151
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Ⅰ.はじめに
痛みは,生体に危害が加わったことを知らせる警告信号を意味するものと考えられている(横田,1992)。しかし,度を越した激しい痛みや,長期間持続する痛みは,人の日常生活活動に著しく支障を来す不快な体験であるばかりでなく,人間存在の尊厳を犯すほどの有害なものになる場合があり,必ずしも有益な信号とは言えない(柳田,1990b)。
これまで,診断や治療に伴う痛みは耐えるべきものとして軽視されがちであったが(柳田,1990b),最近,患者の人権やQOLを重視する人間中心の医療が目指される中で,「痛み」そのものが治療やケアの対象として注目されはじめ,ペインクリニックやホスピス運動にみられるように,痛みに対する積極的医療が行なわれるようになってきた。
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