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1.おとぎ話「シンデレラ姫」の紹介
この講演はおとぎ話から始めたいと思います。昔からあるおとぎ話ですが,新しい観点からお話ししたいと思います。フェミニズムの中心的な主義主張というのは,主張する権限を持っている人が,現実を創る力を持っているのだということです。何世紀にもわたって主張してきたのは,またさまざまな新聞,出版物などのメディアをコントロールしてきたのは男性でした。そして女性に対し,何を考えるべきなのか,どのようにふるまうべきなのか,何を言うことが正しいのかを指示してきたのも男性でした。私たちが知っていると思い込んでいることの多くは,実は,私たちに言われてきたことの記憶にすぎないことを認識し始めたとき,私たちは「真実」の裏側にある真実を探し始めます。
おとぎ話というのは世界中にあり,非常にポピュラーなものです。おそらく一番知られていて,愛されているおとぎ話の1つは,シンデレラではないかと思います。オリジナルのシンデレラのおとぎ話によると,シンデレラはとても孤独で,誰にも愛されない少女で,かまどの灰の掃除が仕事でした。彼女は非常にかわいらしく,美しい少女で,その美しさのため腹違いの姉と継母から妬まれていました。この3人の女性はシンデレラに意地悪をしましたが,シンデレラは辛抱強く耐え忍んでいました。しかし妖精が現れて,その国の王子の結婚相手を見つけるために開かれた舞踏会に出席できるようにしてくれました。そしてシンデレラは,夜中の12時には魔法がとけて,すっかりもと通りになってしまうから,それまでには必ず帰ってくるようにと,きつく言い渡されます。ところがシンデレラは時のたつのを忘れ,あわてて舞踏会の会場から逃げ帰ろうとしたために,片方の靴を途中でなくしてしまいます。シンデレラの魅力にすっかりとりつかれた王子は,その靴にピッタリあう足の女性を捜し求めて,国中をまわります。女たちはむりやり靴の中に足をねじいれようとしますが,聡明な王子の目をごまかすことはできません。ついに王子はシンデレラを見つけだし,2人は結婚して幸せに暮らしました。
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