特集 慢性看護学における事例研究法の進展
2慢性看護実践における事例研究論文作成の実際と課題
事例研究論文の作成プロセスを通して見えてきたこと
東 めぐみ
1
1順天堂大学保健看護学部
pp.501-506
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202144
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はじめに—事例研究に取り組む
臨床で30年ほど,患者へのケアに携わってきた筆者は,実践を言語化する意味について考えるようになった。一緒に働く仲間と実践を言葉にし,自分たちの実践がケアの受け手である患者にとってどういう意味があるのか検討し,次の実践がさらによいものになるように自分たちを勇気づけてきた。このような中,いつしか,事例研究として自分の実践を論文にしたいと思うようになった。
本プロジェクトの一員に加えていただき,事例研究への手立てが現実に近づいた。プロジェクトでは,研究者の先生方の事例研究への思いが,そのまま,看護実践を大切にする思いであることを折に触れ感じ,励まされてきた。
プロジェクトの様々な取り組みの1つとして,伊波早苗氏(2018)とともに筆者(東)(2018a)の実践を研究報告として,日本慢性看護学会誌に掲載することができた。本稿では,筆者が事例研究に取り組んできたプロセスをたどりながら,「事例の選択」「典型例(Typical Case)」「事例を貫く視点」「信頼性と厚い記述」「妥当性と一般化可能性」「新奇性(Novelty)」について考えてみたい。
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