特集 慢性看護学における事例研究法の進展
1慢性看護学における事例研究法の取り組み
日本慢性看護学会の取り組みのプロセスと成果
木下 幸代
1,2
1聖隷クリストファー大学
2山梨県立大学大学院看護学研究科
pp.492-495
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202142
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はじめに
看護学は実践科学であり,事例研究は看護実践の中に埋もれている実践知を取り出すための重要な研究方法である。看護の現場では,かかわった看護実践について頻繁に事例検討が行われ,事例報告や事例研究としてまとめられて,学術集会や院内学会などで数多く発表されている。自らの看護実践を振り返り深く考察することは,看護ケアの質の改善のためにも極めて重要であるが,一口に事例研究といっても,2〜3ページの報告書から本格的な研究論文まで様々であり,明確に「事例研究論文」と位置づけられるものは多くない。
個々の事例は多様であり個別性が高いが,一方で共通性も含んでいる。類似の事例を積み重ねて共通項を見出し一般化するためには,厳密な研究プロセスを踏んで詳細に記述された質の高い事例研究論文の集積が不可欠である。
多くの事例発表が研究論文として公表されないまま埋もれている状況の中,日本慢性看護学会では研究活動の活性化をめざして,2009年度から,臨床現場で行われる事例研究を支援する取り組みを開始した。本稿では,10数年にわたる「慢性看護学における事例研究法の取り組み」のプロセスをたどり,その成果について報告する。
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