特集 日々の医療情報を研究に活かす—データの2次利用に向けて
データを2次利用する研究を行う際の個人情報保護と倫理的配慮
中田 はる佳
1
1国立がん研究センター研究支援センター生命倫理部COI管理室
pp.303-310
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202111
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はじめに
医療機関で得られたデータを2次利用する研究を行う際の倫理的配慮を考えるにあたり,まず,「1次利用」と「2次利用」の定義について確認しておく。臨床で得られたデータを,患者の医療やケアのために用いるのが「1次利用」である。1次利用が終わったデータも,医療機関に蓄積されていく。そして,患者の医療やケアを提供するという目的を果たした後のデータを,別の目的で利用するのが「2次利用」である。医療機関にすでに蓄積されているデータ(既存データ)を,研究という個々の患者への医療やケアの提供以外の目的に利用することは「2次利用」に該当する。
本稿では,友滝愛氏による前稿「既存データを研究目的で利用するときのロードマップを描こう!」で述べられているように,保健・医療のフィールドにある特定の医療機関が保有する既存データを用いて,アカデミア註1が研究を行う場合を前提とする。
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