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はじめに
(植木慎悟)
別稿において,Evidence summaryがどのようなものかを述べたが(220-223),JBIが発行しているエビデンスの情報には,Evidence summaryのほかに「Recommended practice」「Best practice information sheets」「Systematic reviews」がある。中でも,Recommended practiceは,研究から得られたエビデンスを実践レベルに落とし込み,「臨床上の要点」「準備するもの(Equipment)」「推奨される手順」,そしてGrade別に推奨度が示された「推奨されるベストプラクティス」という項目に沿って,該当テーマの看護手順や注意点が掲載されているものである。これを日本語訳し,さらにその分野のスペシャリストが「日本の臨床現場で,このRecommended practiceをどう使えばいいのか」を専門家目線で書きまとめたもの,それが昨年刊行した『JBI:推奨すべき看護実践—海外エビデンスを臨床で活用する』(植木,山川編,牧本監修,2020)である。
JCEBPとして執筆した著書としては,これまでに『エビデンスに基づく看護実践のための システマティックレビュー』(牧本編,2013),『よくわかる看護研究論文のクリティーク』(山川,牧本編著 2014;2020)を刊行している。それぞれ独立した書籍ではあるが,「SRとは何たるかを理解すること」「研究の質を評価(クリティーク)できる力を養うこと」「研究結果を臨床で活用すること」という各書籍のコンセプトを通して学ぶことで,看護研究者が身につけるべきスキルと知識が得られるものと自負している。
『JBI:推奨すべき看護実践』では,第一章「根拠に基づく看護実践を生み出すサイクル」にて,エビデンスとは何なのか,いかにEBPを実践するかを述べ,第二章「JBIのエビデンス情報を活用する」として,JBIの機関としての紹介やJBIが発行している上記のエビデンス情報等を解説している。そしてメインコンテンツとなる第三章において,上記Recommended practiceの日本語訳と解説が43種類にわたって掲載されている。
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