特集 M-GTA その進化と展望
【インタビュー】
M-GTAの集大成とさらなる進化
木下 康仁
1,2
1聖路加国際大学大学院看護学研究科
2立教大学
pp.528-549
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201825
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『定本 M-GTA』への道程
—このたびは『定本 M-GTA』の発刊おめでとうございます。本書は30年にわたるM-GTAの開発と精錬の集大成になるかと思いますが,まずは,この本をまとめようとされたきっかけはどのようなものだったのか,お聞かせいただけますでしょうか。
木下 やはり大きなきっかけは,2018年度から現在の職場で看護学の大学院生を教えることになったことです。個別の研究指導を除き「看護社会学特論Ⅰ・Ⅱ」「社会学方法論Ⅰ・Ⅱ」,それに「看護学方法論Ⅳ:質的研究法」という科目を修士課程と博士課程で担当しています。これだけ集中的に,しかも看護の院生さんを教えることはいままでありませんでした。現在この中の1つの科目でM-GTAによるデータ分析の実習をメインにしていますが,他の科目で主要な質的研究法や代表的な研究例の検討,また,シンボリック相互作用論を含め社会学の理論的基盤をできるだけ原典を使って学んでいます。すべて選択科目ですが,ある程度体系的に内容を構成でき,M-GTAを方法と方法論の両面で説明しやすくなりました。院生さんの大半は社会人で,実務経験をもとに問題意識や研究課題をもっていて,どの授業でも積極的に発言されるので反応を確かめやすくディスカッションが楽しくでき,この感じを本で伝えられたらと思うようになりました。院生さんたちのような読者像をイメージするとスムーズに執筆できました。
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