特集 COVID-19は研究にどのような影響をもたらしているか
【他領域の立場から】
COVID-19の影響と障害者就労支援のデザイン
海老田 大五朗
1
1新潟青陵大学福祉心理学部
pp.411-417
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201801
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はじめに
COVID-19の影響と対応,課題
筆者が在住する新潟県は,本稿校正時の10月25日現在,COVID-19感染者は累計で183名(うち1名が再発者なので実人数は182名),COVID-19感染による死亡者は0名となっている。この数が多いか少ないのかはよくわからないが,都道府県別の総人口でいえば,新潟県の人口は約223万人(2019年10月現在,新潟県総務管理部統計課調べ)で15番目に多いのに対し,COVID-19感染者数は36番目,死亡者数は42番目註1と,都道府県人口における感染者数と死亡者数の単純な比較でいえば,相対的にはCOVID-19の抑え込みに成功しているといえるだろう。新潟県では最多の感染者を出した新潟市でも5月15日を最後に18日間,新たな感染者が出ていなかったことを受け,新潟市における流行の第1波は,5月中旬に収束したという見方を6月2日付で示している。
COVID-19の脅威はこの社会に凄まじい影響を及ぼした。この影響は本稿執筆時においても収まることを知らず,本稿だけで語りつくせるものではない。本稿の目的は,最近の筆者の研究領域である「障害者の就労を可能にするデザイン」〔詳しくは海老田(2020)参照〕として,1つの先端事例を紹介する註2ことである。COVID-19の影響はその特性上,基本的に「〜ができなくなる」というような,物事を不可能にする語られ方をする。このような語られ方は人びとの実感に即していると思われるが,本稿ではとりわけ,このような時勢だからこそ拓かれる障害者の就労支援の可能性について記述してみたい。
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