特集 若手研究者育成のさらなる進展─海外大学の視察を中心に
扉
真田 弘美
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1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/創傷看護学分野
pp.101
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201350
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国立大学が大きな変革の時期を迎えている。平成16年に開始された国立大学の法人化を皮切りに,第1期(平成16〜21年度),第2期(平成22〜27年度),および第2期中の改革促進期間を経て,平成28年度より第3期の中期目標期間へと最後のステップを踏み出したところである。この間,グローバル化,さらなる少子高齢化,新興国の台頭など日本の国立大学の置かれる状況は厳しさを増す一方であり,東京大学もその例外ではない。平成25年度にはミッションの再定義も実施された。東京大学保健系は,「国際的に活躍し保健学の発展を牽引する研究者・教育者養成」を実施する3大学の1つに定義され,「高い研究実績を活かし,世界を牽引する先端的で特色ある研究を推進するとともに,健康総合科学の広範な領域に係る知識・技術・研究の基礎力を有し,多様な課題を発見・解決できる健康と疾病,保健と医療を担う研究者を育成する」ことをミッションとしている。各国立大学においてもこの再定義されたミッションに基づき,独自性を発揮する必要性に迫られている。
看護学分野では,海外との人材流動性の向上が臨床レベルでは先行しており,研究分野でもさらなるグローバル化が求められている。独立した生産性が高い研究者の増加がわが国の看護系大学においては重要であることが認識されているが,看護系大学の急増は深刻な教員不足をもたらしている側面もあり,日々の臨床実習指導や学務に時間が割かれ,研究のアクティビティが高いとはいえない状況が続いている。10年後,20年後の看護学の将来に向けて,いまこのときに看護系大学における若手研究者の育成に関して,そのシステムを刷新する必要性があるといえる。
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