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はじめに
昨年の本誌47巻5号の特集「知的財産としての看護研究」において,佐々木明子教授等により,特許庁の特許電子図書館(industrial property digital library;以下,IPDL)を利用した看護分野における特許出願状況等の分析報告があった(佐々木,田沼,2014)。それを踏まえて本稿では,看護系大学における知的財産活動の紹介,および看護教員の教育・研究を通じて知り得た知的財産の状況について概説したい。なお筆者は,広域大学知的財産アドバイザーという立場で,青森県立保健大学健康科学部,札幌市立大学デザイン学部/看護学部において,保健医療福祉分野における知財体制構築および知財発掘を行なってきた。この「広域大学知的財産アドバイザー」とは,下記を目的とする派遣制度である(INPITのHPより)。
「独立行政法人工業所有権・情報研修館(以下,INPIT)」が,広域大学知的財産アドバイザーを広域ネットワークに派遣して,地域または技術分野等の特徴を踏まえた広域ネットワークとしての知的財産に関する課題解決のための支援,参加する大学等の知的財産管理体制構築・運用の支援をすることにより,知的財産を核とする産学官連携推進の基礎を築き,我が国のイノベーション創出に資すること」
筆者は現在,広島市立大学に広域大学知的財産アドバイザーとして派遣され,2つの広域ネットワークに加入する合計18の大学を定期的に訪問し,知的財産体制の構築,知的財産の発掘,権利化,技術移転,ベンチャー立ち上げ等に対して助言を行なうなど,一緒に汗をかきながら業務を行なっている。詳細はHPを参照されたい(http://www.inpit.go.jp/katsuyo/unvipad/index.html)。
早速次節より,筆者が行なってきた具体的な取り組みと知財活動の状況について,述べていくこととする。
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