増刊号特集 大学院で学ぶ意味─新たな看護を創るために
〈修士修了の立場から〉
リカバリー志向の共同意思決定Shared Decision Makingとの出会い
青木 裕見
1,2
,
萱間 真美
3,4
1聖路加国際大学大学院看護学研究科博士後期課程
2早稲田大学保健センターこころの診療室
3聖路加国際大学
4聖路加国際大学大学院看護学研究科
pp.327-330
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201134
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■修士論文の概要
「精神疾患を有する当事者がShared Decision Makingの手法で治療方針を決定するプロセス」
当事者も治療の意思決定に参加し,デシジョンエイドと呼ばれる情報資料を活用しながら医療者と話し合って治療方針を決めるShared Decision Making(共同意思決定,以下SDM)が精神科においても導入されるようになったことから,そこでの当事者の体験を明らかにし,看護支援のニーズについて検証した。方法は,精神科外来にてSDMの手法(渡邊,2014)で治療方針を決定した当事者9名に半構成的面接を実施し,グラウンデッド・セオリーアプローチを用いて共通する概念を抽出した。結果は,デシジョンエイドは医師との治療同盟を強固にしやすいこと,治療の選択肢を自宅に持ち帰ることで家族の理解や協力が得やすくなること,なりたい自分に近づこうと,選択肢について主体的に検討することが抽出された。看護支援のニーズとしては,選択肢にまつわる情報を一緒に整理すること,告知に伴う不安や困難を受容して先の見通しを共有すること,他の当事者の体験に触れる機会を提供することが示唆された。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.