社会技術講座
グループ・ダイナミックスの応用(1)
杉 政孝
1
1立教大学社会学部
pp.65-67
発行日 1962年6月10日
Published Date 1962/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202600
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グループ・ダイナミックスの基礎理論
これから3回にわたつてグループ・ダイナミックスの保健婦活動への応用について述べるのであるが,その第1回である本稿では,まずグループダイナミックスの基礎となつているいくつかの理論を概説して,グループ・ダイナミックスではどのような問題を対象としてどのような方法で研究が進められているかを明らかにしておこう.
グループ・ダイナミックスは社会心理学の一部門であり,普通は集団力学と訳される.それは一口でいえば,集団とその成員である個人との間の相互依存の関係を,比較的小規模な集団を例としてできるだけ実験的に測定し,その相互関係にはたらく法則をみつけて,その結果を実社会のさまざまな場面に発生する集団に応用することによつて集団と個人との有機的調整をはかり,集団に対する個人の適応を助けるとともに,集団が個人にとつてその自由を束縛したり成長を歪めたりするものとしてでなく,反対に,個人の幸福と自由の増大に役立つものとなるようにしてゆくための技術である.
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