焦点 ソーシャル・サポート・2
解説
各領域におけるソーシャル・サポート研究の現状
精神病者のソーシャル・サポート・ネットワークに関する研究の概観
野嶋 佐由美
1
1高知女子大学家政学部看護学科
pp.258-267
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200924
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はじめに
最近,精神医療の領域において,ソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポートが注目されている。米国のMental Health Commissionの会長Bryant(1978)10)は,精神病者の社会復帰を促進したり,地域精神衛生活動を進めていくためには,精神病者のソーシャル・ネットワークやソーシャル・サポートを活用し,拡大していくことが重要であると述べている。このような提言を受けて,米国では,地域精神衛生活動の一環として,精神病者に対して,ソーシャル・ネットワーク療法やソーシャル・サポート・プログラムなどが試みられている。しかし,このように注目され,いろいろな試みが行なわれているにもかかわらず,精神病者のソーシャル・サポートに関する研究は未だ十分行なわれているとは言えない。
そこで,この論文では,今後の研究の指針とするため,ソーシャル・サポートが精神病の経過に影響を与えているかどうかに焦点をあてて,著者の限られた文献の中から,特に精神分裂病者を中心に,そのソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポートに関する研究の概観についてまとめることにした。まずソーシャル・サポートの理論モデルとその問題点を論じ,次に精神病者のソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポートに関する研究の現状について述べ,最後に今後のこの分野の研究をする上での方法論上の問題について検討することにする。
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