焦点 現場における研究の推進とその限界
Conference・素材
―実験研究―婦人科病棟の防臭対策—活性炭による定性・定量の基礎実験
川原 寿子
1
,
栄 雪枝
1
,
佐藤 友子
1
1神奈川県立成人病センター
pp.252-255
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200667
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はじめに
病院には人間にとって不快な臭いがいろいろある。その中でも癌腫臭が問題となるが,当婦人科病棟においては,その66%が子宮癌の患者であり,癌が進行するに従って膣瘻,膀胱瘻という状態を引き起こし,癌の組織の腐敗臭,便,尿,帯下,血液,分泌物等の臭いが混合され,婦人科特有の悪臭を放っている。しかし病院における防臭対策は,小松氏ら1)が言っているように,疼痛,苦痛の問題が大きいためか,積極的な防臭対策がなされていないのが現状である。
これらの悪臭は,本人はもとより,周囲の患者の食欲を減退させたり,不快な気分にさせている。そこで私達はこれらの防臭対策として,これまでメンタ,ショウノウ,市販の芳香剤,活性炭などの使用を試みてきた。それらの中で,パック入り活性炭をバラバラにしてガーゼに包み,それを患者の悪臭部位に直接近づける方法が,他の芳香剤に比べて最も脱臭効果があるように感じられた。
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