研究を志す人のために
計画の重要性
樋口 康子
1
1日本赤十字幹部看護婦研修所
pp.77-78
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200640
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看護の分野における研究計画書(Proposal)と称する小冊子に目を通して気がついたことは,研究計画の多くが,計画書の内容項目を埋めるために書かれていることであった。あるものは,研究テーマが大きすぎて焦点がどこにおかれるのか釈然とせず,また,あるものは,どんな対象を選んで,どんな手順で行うのか方法論の説明がなかったりした。さらに,研究テーマに対して,ちぐはぐな方法論を提示したり,研究の結果予測される仮説の提示がなかったりした。そして,多くの計画書では,得られたデータをどのように処理して分析する予定なのか何も提示していなかった。これでは,何の目的で,どのような方法によって,いかなる結果を予測して,その研究を進めようとしているのか,全く判断に苦しむのである。このような計画書を見るとき,その研究を進める価値の有無を検討することさえ無意味に思われてくる。
計画書を作成するにはいくつかの目的があると思うが,一口で言えば,他の研究者が,その計画書に記述された手順どおりに進めていけば,研究をとどこおりなく遂行することができて,同じ研究結果を期待できるようにするためである。つまり,研究の冒頭から結論に至るまで,主尾一貫した道筋が計画されていなければならない。
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