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定期健診
多くの歯科医院に受診してきた方に聞きますと,「かかりつけ歯科医」は持っていると話されるのですが,実際はどうでしょうか.受診する方の意識では,「かかりつけ歯科医」を持っていると思われていますが,ほとんどは「かかりつけ歯科医」ではなく「いきつけ歯科医」に行かれているようであります.定期的に歯科受診するのではなく,何か気になると同じ歯科医院を受診する「いきつけ歯科医」です.慢性疾患を主な診療とされている内科において,継続的でかかりつけ医として確立された歴史がある医科医療機関に受診する方のなかでは少ないのかもしれませんが,こと保険診療における歯科医療では,「どこでも同じ」あるいは「通い易い」などで選ばれているようであります.
以前通われていた方が,数年ぶりにお見えになりました.図1はその口腔内写真です.口腔清掃状態は特段に悪いとはいえない,一般的な状態と思われますが,以前に比べて歯茎の乳頭部がやや丸く膨らみ,所々に歯石や歯肉出血が見受けられます.糖尿病治療も中断されているようでしたので,内科受診を再開されるようにお勧めし,さらに食事における状況について伺ってみますと,あまり噛まずに済む食べ物を日頃より選んでいるようでした.噛む回数も数回で飲み込むだけでなく,食事の時間も短く,時には朝食を欠食することもあるような食に関する生活習慣の状況でした.医療面接の結果,食後高血糖のリスクの増大や朝食の欠食によることで,かえって昼食時での高血糖を招くこともとても気になります.主治医である内科医とともに協調して,歯科医として糖尿病治療に向けた歯科治療を含めた口腔健康管理を進めることで,糖尿病治療への歯科からの支援を再開することにしました.
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