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これからの看護研究
湯槇 ます
1
1東京女子医科大学病院看護部
pp.4-5
発行日 1968年1月25日
Published Date 1968/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200086
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看護はある時期には科学であり,芸術であり,精神であると教えられ,したがってそのまま専門職業でもあると信じられていた時代があった。しかし今日,真に専門職業の意味を理解する人は,そこに厳しく険しい道が広がっていることを悟らずにはいられない。私たちはつい最近まで看護婦独自の機能についての見解も,論理的にわきまえていたとはいえないし,すべて医師の命令によって動くという立場をとっていたのもそんなに遠い昔のことではない。今日では看護は対象の日常生活のあらゆるニードを,その人が自分で満たすことができるようになるための援助をするものであるという定義を一応受け入れ,それはケアとよばれ看護婦が主体性をもって行なうことが認められている。
そうとすれば,われわれが実施しているケアはどれほどの内容をもっているのであろうか。ユニークであるといわれる看護の方法や使用している用具などについてみても進歩し変化していると考えられるものは少ない。このことは,看護が医療面でのほかの分野に比べて非常に前進する速度がおそいということではないか。努力をしているにもかかわらず,多くは直感とか,習慣・経験・試行錯誤に頼って,いわゆる日課的なものを信じすぎているように思える。われわれは信頼にたる行為の指標をうるために,この独自の分野を裏づけをもつものに育てていかなくてはならない。
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