特集 臨床看護師が取り組む研究モデルの探究
【翻訳】エビデンスに基づく患者マネジメント,マイクロ─エビデンスとマイクロ─トライアリング
Ivo Abraham
1,2
,
Karen MacDonald
2
,
坂下 玲子
3
1Center for Health Outcomes and PharmacoEconomic Research, University of Arizona
2Matrix45
3兵庫県立大学看護学部
pp.673-678
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100722
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はじめに
流行のエビデンスに基づく医療の定義(Eddy, 2005)を看護に拡げると,エビデンスに基づく看護とは,看護決定,ガイドライン,その他の政策が,効果や利点が明らかにされているエビデンスに基づいて行なわれるという一連の原則や方法と定義されるだろう。この定義はいくつかの重要な要素を含んでいる。エビデンスに基づく看護は,系統的である。それは,原則や方法からなっているということだ。そして目的をもつ。すなわち看護ケアは,科学的に効果的な変化をもたらし,患者の利益になるという目的をもつ。また,手段をもつ。すなわち判断し,導き,方針を決める手段をもつ。
本稿においては,エビデンスに基づく看護の知識を患者ケアに取り入れるため,医療の中で遭遇する問題について検討する。まず,エビデンスに基づくヘルスケアを進めることで明らかになったこと,難しかったことについての分析から始める。そして,個々の患者のマネジメントに焦点を当て,患者のケアにおいて,エビデンスに基づくガイドラインを遵守することによって,どのようなよい成果が得られるのかを,がん患者の貧血症に関する研究を例に説明する。最後に,マイクロ─エビデンス,マイクロ─トライアリングという概念を提案する。それは,新しく科学的に証明された看護介入を日々の実践に導入するための確信を生む方法である。
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