焦点 新たな創造に向けた看護研究─先端的試みをどう活かすか
先端研究を応用したバイタルサイン測定法の開発―看護情報学の確立に向けた取り組み
川口 孝泰
1
,
白鳥 和人
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
キーワード:
バイタルサイン
,
先端研究
,
生体センサー
,
指尖容積脈波
,
看護情報学
Keyword:
バイタルサイン
,
先端研究
,
生体センサー
,
指尖容積脈波
,
看護情報学
pp.505-511
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100479
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はじめに
バイタルサイン(vital signs)とは,人間の生体情報,特に生命兆候の状態を示す言葉である。バイタルサインの基本情報は,血圧,体温,脈拍,呼吸数であり,実践に活かすための看護情報の基本である。これらの記録は,血圧計や体温計などの測定器から得られた値,および観察による呼吸数や脈拍数の分時回数について,複数の測定点の値を線で結んだ体温表(線形時系列データ)に記すことにより行なわれる。しかし,医師や看護師が得るバイタルサイン情報は,体温表に示されたもののみではない。医療職者が経験に基づいた知識を基盤として対象を観察し,コミュニケーションを通して感じ取ることのできた「何か変?」という感性的予兆(例えば,心電図や脈波の連続波形の動態の変化など,非線形時系列データの観察を通して感じ取れる何か,など)を含んだ形で診断や判断が行なわれている。
本稿では,記録に残すことのできるバイタルサイン情報のみではなく,医師や看護師などの医療者が感性で捉えている「高次元非線形時系列データ」を数理的に解析することによって,現時点では記号や言語では記録できていないバイタルサイン情報を,先端研究を活用した新たな看護・医療情報として表現するための手法を提案する。
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