特集 帰してはいけない「こども」を見逃さないために
【総論】
こどものトリアージとバイタルサインのポイント
野村 理
1
1東京都立小児総合医療センター救命救急科
キーワード:
トリアージ
,
バイタルサイン
,
第一印象
,
gut feeling
,
呼吸窮迫・不全
,
ショック
Keyword:
トリアージ
,
バイタルサイン
,
第一印象
,
gut feeling
,
呼吸窮迫・不全
,
ショック
pp.302-306
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103167
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『JIM』読者のなかには,信州の地域医療を舞台とした映画「神様のカルテ」をご覧になった方が多いかもしれない.映画は消化器内科医の主人公が働く病院の夜間救急外来から始まる.彼が当直に向かう廊下には診察を待つ人たちの列,熱でうなるこども,つらそうに咳をする老年男性.救急室には尿管結石,診察はまだかと怒鳴る人,間もなく救急搬入されてきた男性は下壁梗塞,初期対応しながら循環器内科医を祈るように待つ.続けざまに救急搬入依頼の電話が鳴り,大動脈解離らしい.
ここで仮に,待合室にいた発熱の1歳男児が痙攣し,母親が救急室に駆け込んだとする.幸い痙攣は1分ほどで頓挫したが,なんとなくぐったりしているように見える.もし,あなたが主人公だったらこの子にどのような対応をされるだろうか.この混沌とした状況で,あなたは,災害弱者ともいわれる小児に手を差し伸べ,その子の命と未来を守り,家族に安心を与えるジェネラリストであろうか.
本稿では,小児診療を専門とされていない医師が,成人と小児が入り交じる診療所や救急外来において,「帰してはいけないこども」つまり重症小児を見逃さないための方法論について,トリアージやバイタルサインという観点から考えてみたい.
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