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はじめに
2003(平成15)年度より「看護ケアの質評価・改善システムの運用に関する研究」において電算化が図られ,インターネットを介して大量のデータを収集し蓄積するシステムが開発されている。看護ケアの質評価におけるデータは,webアプリケーションを用いインターネットを介して収集できるようになってきているが,収集されたデータはそのすべてを,数名の専門家から構成される看護ケア研究班が評価しなければならない。
収集される看護ケアデータは,看護ケアの質6領域(「患者への接近」「内なる力を強める」「家族の絆を強める」「直接ケア」「場をつくる」「インシデントを防ぐ」)についての質問に対する選択回答および自由記述回答で構成されている。自由記述回答は,病棟看護師が担当したことのある患者に対して実施したケアの内容について具体的に記述することを要求しており,この自由記述回答の評価が各看護師の実践した看護行為の評価になる。このため,評価者が自由記述回答を読み,記述内容から実際に行なわれた看護行為を判断することにより評価が行なわれる。すなわち,webアプリケーションにより収集される自由記述回答の評価は従来の現場訪問・過程観察による質評価の代替として行なわれている。
自由記述回答の質問項目数は17項目あり,それぞれの項目について現在はおおむね数百件の回答が返されている。さらに今後この評価システムへの参加病院数が増加すれば,それに伴い回答数も増加することになり,このような増加に伴う評価者の負担軽減のために自由記述回答の自動分類を行なうシステムの開発が必要である。図1は自由記述回答の分類の変遷を描いたものである。従来は専門家のみが分類を行なっていた。現在は,専門家と並行して自動分類システムの性能評価を行なっており,将来的には,大半を自動分類システムで行なうことができればと考えている。
本稿では,「Web版看護ケアの質評価総合システム」における自由記述回答の自動分類のための機械学習アルゴリズムを用いたテキスト分類システムについて紹介する。
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