焦点 看護に活用するレジリエンスの概念と研究
先天性心疾患をもつ思春期の子どものレジリエンス
仁尾 かおり
1
1愛知医科大学看護学部
キーワード:
先天性心疾患
,
レジリエンス
,
思春期
,
キャリーオーバー
,
病気認知
Keyword:
先天性心疾患
,
レジリエンス
,
思春期
,
キャリーオーバー
,
病気認知
pp.15-25
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100351
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はじめに
先天性心疾患の臨床はこの20年間に大きく変貌し,診断技術の進歩,内科治療および外科治療の進歩により,乳幼児死亡率は著明に低下した。わが国では,成人に達した先天性心疾患患者は40万人に達しており,今後,年間5%の割合でその数が増加すると考えられている(丹羽,2001,2006)。
先天性心疾患は,生命に直結した疾患,生まれながらの疾患という特徴より,患者は幼少期から特有の危機状況,すなわち困難や逆境に遭遇し,それを乗り越えながら成長して思春期に至ると考えられる。また,思春期以降もなんらかの問題を抱えながら成長し,その問題や,また新たに生じる問題を継続的に抱えてキャリーオーバーしていくことが予測される。
本稿では,筆者がこれまで取り組んだ研究成果に基づき,先天性心疾患をもつ思春期の子どものレジリエンスに着目して,その発達を支援することが,今後成人期に向けて遭遇するであろうさまざまな困難や危機的状況に立ち向かい,乗り越える一助になる可能性について論述する。
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