焦点 看護におけるeffectiveness research―RCTを超えて
扉
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.434
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100334
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看護に携わっている人ならば,「看護学のエビデンスはどのように築いていけばよいのだろうか,医学あるいは自然科学と同様な方法でしかエビデンスを築けないのだろうか」と疑問に思われたことがあるであろう。
Randomized Control Trials(RCT;ランダム化比較試験)は,エビデンスのレベルとして最も信頼性の高い研究法として位置づけられてきた。またRCTは私たちがよく目にするエビデンスレベルの表では最上位に書かれているため,RCTは研究法として最も優れたものであるという「RCT万能論」のような誤解を生じさせているようでもある。看護研究においてもRCTによって確固たるエビデンスを築こうと多くの研究がなされ,海外学術雑誌にはRCTの研究を集約したメタアナリシスも盛んに発表されるようになった。一方で,RCTへの疑問や批判も高まりつつある。RCTは対象者の選択条件を設けランダム割り付けを行なうことによって均質な複数の集団をつくり,介入効果を評価しようとする研究デザインであり,内的妥当性(因果推論の適切さ)は非常に高い。しかし,均質性を求めれば求めるほど,実存する人々とは乖離し外的妥当性(一般化可能性)を失うという問題が生じる。個々の患者をみる臨床家らはRCTの結果が万能でないことを肌で感じていることだろう。
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