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はじめに
2007年9月,私たちは英国のケンブリッジで行なわれたNET学会2007(Nurse Education Tomorrow 2007 Conference;看護教育会議)にて研究発表を行なった。その研究は,アイルランドの看護学士号取得教育課程における臨地実習評価のための課題の1つとして用いられるリフレクションとポートフォリオの活用について考察したものであった。研究目的は,看護学生の立場から,リフレクションとポートフォリオを活用することによる自らの経験と実践を明らかにすることであった。本稿では,その簡単な概要を紹介する。
アイルランドでは,ポートフォリオは学習ツールとして定められており,学生のクリニカルアセスメント(臨地実習評価)の課題の1つとして提出が義務づけられている(An Bord Altranais, 2003)。
それぞれのポートフォリオにおいては,臨地実習科目のなかで学んだことのエビデンスを示すことのほかに,最低限1つ,リフレクティブな記述をまとめていることが求められる。Grant & Dornan(2001)は,ポートフォリオは,学習者の学びの総まとめであり,学習のエビデンスとなるとともに,評価の目的として用いられると定義している。またJasper(2006)によると,ポートフォリオはリフレクティブな実践を促進するために非常に有用なツールであり,さらにMcMullanらは,しっかりとした枠組みをもつ体系的なリフレクションを活用することは,ポートフォリオをさらに進化させるための重要な要素であるとしている(McMullan et al., 2003)。
まず,ポートフォリオとリフレクションを活用した私たちの経験が,はたして国際的な看護の文献にもみられるかどうかを明らかにするために,私たちは,「看護学生」「看護教育」「ポートフォリオ」「リフレクティブな実践」「リフレクション」,そして「学生の学び」などのキーワードを組み合わせて,近年の研究のレビューを行なった。さらに私たちは,同級生や教員とのディスカッションを行なうとともに,私たち自身のポートフォリオとリフレクションの活用から経験したことは何かを導き出した。
このプロセスのなかから,いくつかのテーマが浮き彫りになった。それは私たちの経験のなかに共通してみられるものであるだけでなく,私たちの同級生にも共通し,ひいては国際的な文献にもみられるようなテーマであった。
その中心的なテーマは,
1)明確なガイドラインと継続的サポートの必要性
2)時間的制約
3)不安
4)自己への気づきと個人としての成長
以上の4つである。以下に,それぞれのテーマに沿って説明する。
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