焦点 理論・研究・実践を総合するリフレクション
扉
田村 由美
1
1神戸大学大学院保健学研究科
pp.170
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100304
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
現在,看護の方向性として看護実践能力の向上が強調されている。そのためには看護者が臨床でどのように考え,判断しているのかといった考える力を涵養するような教育が重要である。リフレクションは,そのような看護実践の基盤となる科学的問題解決思考を含む思考の仕方であり,看護者が直面する複雑で多様な問題に対応する力となることで注目されている。リフレクションという概念は複雑であり,統一した定義がない一方で,リフレクションの看護教育への導入は,すでに欧州では一般的となっている(PubMedで文献検索を行なうと「reflection」AND「nursing education」で486件のヒットがある)。わが国でも,リフレクションは内省,省察,反省という言葉と互換性をもち,教師教育の分野で広く浸透している。看護教育においてもリフレクションに関連する文献を散見するようになった。
しかし,研究的視点でリフレクションの文献を検討すると,リフレクションは看護実践や看護教育とどう関連するのか,リフレクションは思考の仕方か学習の仕方か,リフレクションは看護実践や看護教育にどのように,どのような方法で活用するか,それによる成果は何か,実践に埋め込まれた理論はどのようなものなのかなど,リフレクションの研究においては,概念整理から研究方法,実践方法にわたり多くの検討事項がある。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.