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ここ数年,私たち看護職者は糖尿病セルフマネジメント教育について多くのことを学んできた。糖尿病教育が効果的であるということは,メタ分析によって示され(Norris et al., 2002 ; Norris et al., 2001 ; Brown, 1999 ; Barlow et al., 2002),セルフマネジメント教育は代謝的アウトカムおよびQOLなどの心理社会的アウトカムの改善に貢献している。
さらに,糖尿病教育は,従来の教訓的教育(didactic education)から,理論的かつエンパワメントに基づいたプログラムに移行している(Norris et al., 2002 ; Norris et al., 2001)。すなわち,教育は患者が主体(patient centered)であり,何を教えるべきかという内容から導かれるもの(content driven)ではない。エンパワメントに基づいた教育プログラムは,患者が選択したいと思っている知識と技術を提供できるようにデザインされている。患者は自分の目標を設定し,その目標を達成するように促されるのであり,保健医療職者によって選択された目標を達成することを促されるのではない。このアプローチにおいて,患者は自分の価値観や能力を知ることのできる十分な能力をもつという認識がされている。エンパワメントの枠組みにおいて,糖尿病セルフマネジメント教育は,個人あるいは集団によって明確にされたニーズを満たすことができ,それによって自分自身のケアにおける情報豊かで積極的な参加者となることができるようにデザインされている(Funnell et al., 1991 ; Funnell & Anderson, 2003 ; Anderson et al., 1991 ; Anderson et al., 1995)。
教育に関する研究によって,私たちはより有効な方法を理解することができるようになり,糖尿病セルフケアに必要な行動の変化を参加者が作り出し継続していくことを支えるためには,従来から行なわれている知識重視のプログラムでは十分でないこともわかってきた(Piette & Glasgow, 2001)。また,ほかのどのようなプログラムよりも優れた特定の1つのプログラムというものはないことが,研究によって示された。教育は,情報とともに行動的側面と感情的側面が組み込まれた時に,よりよいアウトカムがもたらされるのである(Roter et al., 1998)。DAWN調査訳注)の結果は,代謝やセルフケアに関することが効果的に管理できている時でさえ,糖尿病をもつ人々が苦悩や困難を抱えていることを明確に示している(Alberti, 2002)。また,この調査において回答者は,このような苦悩や困難に関して保健医療職者に多くの援助を求めていることを示している。
それでは,実際に糖尿病をもつ患者をケアする看護職者にとってこれらは一体どのような意味をもっているのであろうか。そして,看護実践において根拠に基づいたアプローチを実行し,多忙な現実のなかでその実践を記録するために看護職者はどのような方略を用いることができるのであろうか。
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