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はじめに
2004年は,千葉大学における看護教育学講座(現,教育研究分野)生誕25周年である。人間に置き換えれば,さまざまな発達上の問題を乗り越え,経済的にも自立し,なんとか独り立ちしている時期であろう。「履修の手引き」という1枚のプリントから始まった(杉森,1999,p.iii)この学問は,誕生以後,どのような学問か,看護においてどのような意義をもつのか,何を目的に何を研究するのかなど,1つ1つ丁寧に検討,研究されてきた。
これらに支えられ,今,まさに看護教育学という学問は,複数の理論開発に向け,着実にその歩みを進めている。数年前,博士後期課程の学生を対象にした授業のなかで「看護教育学教育研究分野は理論の開発をめざしているのですか」という核心をついた質問を受け,ギクッとしたことがある。また,理論開発についての学習を要望し,千葉大学看護学部看護教育学教育研究分野への進学を希望する看護職者も出現しはじめている。25歳になった看護教育学という学問にとって,理論開発について論じることは,もうこれ以上,避けては通れない道となっている。
そこで,本焦点においては,いくつかの側面から看護教育学における理論開発の過程を紹介する。これらは,いまだ発展途上にあるが,それにもかかわらず,あえて公開するのは,多くの方々から多角的なご意見をいただくことを通して,実践の場において十分に機能する理論を開発したいと考えるためである。
本焦点の第1章は,看護教育学における理論開発の背景と意義を論じるとともに,看護教育学研究モデルに沿い,理論開発に関して概説する。このモデルは,現在,看護教育学が2つのタイプの理論開発に向かっていることを示す。続いて第2章は,第1のタイプ「予測理論の開発」,第3章は,第2のタイプ「記述理論の統合による新たな知識体系の構築」について実際の研究例とともに紹介する。
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