特集 HTLV-1母子感染予防の新方針
扉
pp.425
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202189
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成人〜老年期に,予後不良な疾患である成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)を引き起こす可能性のあるHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)。性行為感染と母子感染が主な感染経路であり,栄養方法の選択や母子感染の不安,自身の将来についてなど,キャリアと診断された母親に大きな葛藤をもたらします。2011年より全妊婦のスクリーニング検査が始まり,その支援体制について研究が続けられてきた結果,近年,栄養方法の選択に関して,新しい研究成果が発表されました。
2017年以降,「母乳を介した垂直感染を予防するために原則として完全人工栄養を勧める」とされましたが,「コホート研究やメタアナリシスの結果,エビデンスの確実性は高くないものの,90日未満の短期母乳栄養は完全人工栄養と比較して母子感染リスクが高いとは言えない」ということが示されました。その内容は,2022年11月に発表された「HTLV-1母子感染予防対策マニュアル(第2版)」に反映されたと共に,「産婦人科診療ガイドライン2023」にも記載されます。
同マニュアルにおいては,キャリアと診断された母親への心理的支援や,共有意思決定,栄養方法の支援などにおいて,助産師に大きな期待が寄せられています。そこで本特集では,同マニュアルとその内容を解説した動画教材を元に,HTLV-1キャリアの母親とその子どもを支える支援の最新情報をまとめます。
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