連載 「根拠のあるケア」のための新しい考え方 母子相互影響看護論・4
産褥期の母子相互影響の概要と母乳栄養を整える看護
河野 洋子
1
1淑徳大学看護栄養学部看護学科
pp.408-413
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202183
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産褥期は妊娠期とは異なり,分娩により母親と子どもの身体的なつながりが断ち切られ,実体としては別々の存在になります。しかし,子どもは自分の力で生きていける存在ではなく,親が何らかの働きかけをするからこそ健康に育つことができます。子どもは母親からの働きかけの影響を受けつつ育ち,同時に母親も子どもからの影響を受けて心身の状態が変化します。新生児からの吸啜刺激によって母親の子宮収縮が良くなり,母乳分泌が促進されることはそれを示す分かりやすい一例です。
産褥期では,このような母と子の影響の与え合いが母子の健康を守る上で重要な役割を担っていることを理解する必要があります。今,この母子はどのような影響の与え合い方をしているのか,という視点で母子の状態をよく見ていくことが大切です。よい影響の与え合い方をしていれば,子どもは健康に育ち,母親の母性は高まっていきます。母子双方にとってよい影響を与え合う状態に整えていくことが,産褥期の看護においても不可欠なのです。
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