養子縁組予定の生母に対する妊娠・出産・産後のケア

　本連載では，①出産後に児を養子縁組等で他者に託す予定の妊産婦（養子縁組の視点からいうと生みの親／生母／バースマザー），②妊娠・出産しないで，新生児等の乳児の養育をする育て親（同様に養子縁組の視点からいうと養親）に対する周産期および児の養育開始前後のケアや支援について整理してみたいと思います。養子縁組に関わる助産ケアを取り上げたのは，その特別なニーズがまだあまり知られていないから，そしてその女性・母子にとって，妊娠・出産・養子縁組はどれもかけがえのない時間であり，もしかしたら人生の分岐点にさえなりうるからです。養子縁組に関わる助産ケアには，養子として託す妊産婦のケアと，託される養親のケアの2つの側面があることが特徴です。

　では，養子縁組予定の妊産婦に対して，妊娠中，出産，産後に，どのような関わりが求められるでしょうか。また，養親に対してはどうでしょうか。一般的な助産ケアや支援は，出産したらその子を育てる／新生児の母親はその子を出産している，という前提にあるため，養子縁組予定の妊産婦に対して何をしたらよいか，イメージが湧かないかもしれません。でも，定型的ではない，時には困難な背景があったり，スティグマを負っていたりする妊産婦だからこそ，その方のニーズに合った，またその方をエンパワーする関わりが求められます。